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令和琳派

2020.07.15
令和琳派
山本 太郎 ニッポン画展
会期:2020年7月15日(水) → 27日(月) 
会場:新宿髙島屋10階美術画廊 
最終日は午後4時閉場。

このたび髙島屋では、『ニッポン画』を提唱され、日本画の伝統と様式美の中に現代性・社会性をエッセンスとして取り入れた革新的表現で活躍されている日本画家・山本太郎氏の展覧会を開催いたします。
『ニッポン画』とは「日本の今の状況を端的に表すこと」「古典絵画の技法を使うこと」「諧謔をもって描くということ」という3つの柱で表現されます。
 時代の変化に呼応しながら受け継がれてきた琳派を「現代」という視点から、日本伝統文化とその根底に在る美意識・価値観のもと、独創性や諧謔性に満ちた【令和時代の琳派】として再構築した作品を一堂に展観いたします。

髙島屋美術部







まさか令和に入って早々、こんなにも急激に世の中が変化するとは半年前の自分は全く予想していませんでした。コロナウィルスの影響で私たちが今まで当たり前だと思っていた世界は変わることを余儀なくされています。
しかし、冷静に考えると私たち日本人は常に時代ごとに変化を重ねながら歴史を積み重ねてきました。同じ日本列島に住んでいても平安時代や奈良時代と同じ暮らしをしている人はいません。現代で室町時代や江戸時代のように丁髷や日本髪を結っている人はほとんどいないでしょう。着物を日常着として着ている人さえ今は稀になってしまいました。
それでも日本人はその美的な感覚を時代の変化に合わせながら受け継いできました。過去と同じ生活はしていなくても、美しいと思える感覚を引き継いできたのです。
江戸時代初期に成立したと言われる琳派もそうして受け継がれてきた文化の一つです。琳派は平安時代の王朝の美的感覚を種としながらも江戸時代を生きる京都の町衆によって育まれました。その当時としては新しい表現だったのです。そしてその後、琳派は時代ごとに見直されて、およそ100年ごとにブームがきました。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一・鈴木其一、と受け継がれた琳派は近代では明治大正期を中心に活躍した神坂雪佳という絵師を生みました。私はこうした琳派の先輩絵師たちに多大な影響を受けています。
琳派の特徴を私なりに解釈して一言で表現するなら「各時代の日本美術におけるポップな表現」ということになります。琳派は宗教美術ではなく、また公家や武家の権威を象徴するものでもありません。あくまで町衆が作り上げ日常の中で楽しんできた文化です。そのため堅苦しさがなく、愛らしく、時に派手で色鮮やか。大胆な構図や機知にあふれた表現もたくさん見受けられます。正しく、今の時代を生きる私たちと同じ目線で作られてきた表現なのです。そうした琳派のポップさは時代ごとに変化しながら、この令和まで引き継がれてきました。
私が標榜する「ニッポン画」は伝統的な日本絵画を現代の視点で再構成したもので、琳派の考え方や表現方法と非常に近いと思っています。
今後この新しい時代を私たちはどのように生きていけば良いのでしょう?
受け継ぎながらも変わっていく、という一見矛盾するような形で続いてきた琳派の表現には、この時代を生き抜くためのヒントが隠されているように思います。こういった変化が激しい時代にこそ文化・芸術が持っている柔軟な発想とクリエイティビティがむしろ必要です。こんな時代だからこそ私の「ニッポン画」をぜひお楽しみください。

山本 太郎
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